獰猛

2020年/日本語/日本/70分

解説

東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻14期修了制作作品。2021年劇場公開を果たした『ドブ川番外地』監督の渡邉安悟が手掛ける長編第二作目。余命僅かな前科者の元プロレスラー・山田鋼太郎を中心に、鋼太郎と同じアパートに住む居場所を求める高校生・中野亮平、鋼太郎の同僚の夢追い続ける酔っ払い・近藤、その三人が過ごす、淡く脆い日常を描く。

あらすじ

腐れ縁の医者から余命宣告を受けた前科者の元プロレスラー山田鋼太郎は、黙々とそれを飲み込んで翌日には何事もなかったかのように工場勤務の生活を送っている。鋼太郎には同僚の近藤と仕事終わりに喫茶店でだらだらと過ごすという日課がある。いつもの如く近藤の夢の話を延々と聞いた後、ぶらぶら夜道を独り歩く鋼太郎は閑散としたプロレスジムへと誘われ、そこで隣人の中野亮平と遭遇する。次第に鋼太郎は近藤と亮平の二人と過ごす時間が日常へと変わってゆく。しかし……。

映画祭参加経歴/表彰

映画専攻二〇二〇年度修了制作展 上映
第24回JPPA AWARDS 2020 学生の部 映像技術部門 審査員奨励賞
第24回JPPA AWARDS 2020 学生の部 音響技術部門 審査員奨励賞

監督


渡邉安悟
1994年、大阪生まれ。大阪芸術大学の卒業制作「ドブ川番外地」がレインダンス映画祭コンペ部門に入選し、ロンドンにて上映される。学部卒業後、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻に進学し、黒沢清氏や諏訪敦彦氏に師事する。現在は東京を拠点にし、映像フリーランスとして活動中。

スタッフ&キャスト

監督 渡邉安悟
プロデューサー 髙橋美森
演出 新甫悠祐、関口さと子(共に助監督表記)
脚本 宮崎純平、渡邉安悟
出演 入江崇史、河野宏紀、古川順、髙橋里恩、森了蔵、白木孝宣、淡梨、大須みづほ、大迫茂生
スタッフ Kang Hyonho(撮影照明)
大迫秀仁(Gaffer)
孫義、袁子千(美術)
渡邊大貴(サウンドデザイン)
魏瑶瑶(編集)
中林俊也、三浦良明(音楽)
渡邉安悟、池本陽海、畠智哉(衣装)
石松英恵(ヘアメイク)
陳章韵、董敬、Chen Shih Ting(記録)

上映スケジュール 9/16-9/20

9/16(木)00:00〈9/15(水)24:00〉より配信スタート!880円で72時間観放題!ご購入(課金開始)いただけるのは9/18(土)23:59までとなっています。Huluの作品と合わせて“計画的”にお楽しみください。
※ご視聴にはプラットフォームVimeoへの登録とお支払いが必要です。

Director’s Voice

1.映画制作をはじめたきっかけは?

ある日本映画を観て、こんな自由な作品・表現があるのか…、と衝撃を受けました。こういう映画が在っていいなら、また、こんな風に映画に救われる人(自分)がいるなら、自分も映画を撮ってみたい、と思うようになりました。それから、作り手の視点から、映画を一つ一つ観るようになりました。大阪芸術大学映像学科に入学し、様々な人たちと出会いました。それまで孤独に映画を観て、噛み締めるだけだった僕は、同じく映画に救われた方々と作品について語らう喜びを知りました。顔色を伺って意見を交わすだけではなく、時に互いの映画観をぶつけて一触即発の議論に発展し、共闘し、断絶する姿に高揚しました。この世界で生きていきたいと、本気で思い込んで、いまだにしがみついています。

2.影響を受けた作品や監督は?

入り口は、北野武監督や黒沢清監督など、90年代の日本映画でした。それから、二人に関連する監督・作品を漁っていって、自分なりの映画史を掴んでいった感じです。映画を撮るようになってから、常に念頭にいる監督という意味では、相米慎二監督に何度も救われました。脚本作りにおいても、現場演出においても、編集においても、相米慎二監督の振る舞いに励まされ、時に反面教師にしながらも、絶えず存在に憧れ続けています。香港のジョニー・トーの外連味や、ハワード・ホークス、ウィリアム・A・ウェルマン、ダグラス・サークなど、往年のアメリカ映画を牽引する監督たちの語りの速さ、ヌーヴェルヴァーグの映画に対する誠実さや、テオ・アンゲロプロスの威厳さなど、いずれも惹かれます。近年は森崎東監督と三宅唱監督に首ったけです。

3.本作の制作動機、インスピレーションは何でしたか?

知られたくない過去、逃れられない罪を背負いながらも、生き続けるしか術がない人物、そんな八方塞がりな運命を辿る人間を描きたいと、そういう着想から出発した作品です。そして、プロレスという、リング上に様々な軋轢やスキャンダルを持ち込んでショーへと昇華する生き様、リアルな人と人との戦いでありながら、エンターテイメントたろうとする志しに強烈に惹かれていました。大喜利形式に、脚本家とアイデアを出し合って、お話を形作っていきました。不器用に生きるしかない、本来なら交わる筈がない三人の、海辺の遊びの場面が断片的に浮かんで、それをどうしても描きたい、という直球な創作的欲求も重大な点だったと思います。

4.本作ではどんな困難に直面し、それをどう乗り越えましたか?

これは本当に撮り切れるのか、という場面に何度もぶつかりました。自信と不安が頭の中を駆け巡る現場でした。とりわけ、だだっ広い駐車場の場面の撮影は、あらゆる点で過酷でした。なんとか撮り切って、作品にすることが出来ましたが、絶えず自分の至らない面を反省しました。スタッフ・キャストは勿論、作品に携わった全ての方々に助けられ、支えられ、引っ張っていただいた映画だと実感しています。

5.本映画祭への応募動機と選外と知らされた時の心境、その後ゆうばりホープ選出の葛藤は?

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭に対しての憧れがずっとあったので、自然と応募した形になります。選外の知らせは残念に思いましたが、きっと映画祭と作品の色合いが違っただけだな、とポジティブに解釈しました。何らかの形でいつか上映等できればと安易に考えていたので、次どう本作を展開させようかと思っていたところ、ゆうばりホープ選出の連絡が来たので、素直に嬉しかったです。古い価値観に支配された頭の固い人間なので、できれば映画館などの施設の上映が望ましいですが、各所の映画好きが気軽に作品に触れる機会という意味では、オンライン上映という形式もとても魅力的だなと思っています。

※ゆうばりホープは惜しくも選外となった中から将来性が光る若手監督の作品を紹介する新カテゴリーです。

6.ご覧になる皆さんへメッセージを

不器用な人々の生き様を観ていただきたいです。風変わりなエンターテイメントを目指しました。楽しんでいただけると幸いです。