グッドバイ、バッドマガジンズ

Goodbye, bad magazines

2021年/日本語/日本/102分/ワールドプレミア

解説

かつてコンビニで販売されていた男性向け成人雑誌は、圧倒的な売り上げを誇っていた。しかし性質柄、成人雑誌の制作過程はあまり知られていない。知られざる性的メディアに従事する多くの関係者への取材を行い、その苦悩や葛藤を描いた実話の物語。電子出版の台頭による出版不況、東京五輪開催決定によるコンビニからの成人雑誌撤退、さらに追い打ちをかけるように発生した新型コロナウイルスなど、激動の時代を生きる者たち にスポットを当てた業界内幕エンターテインメント。

あらすじ

オシャレなサブカル雑誌が大好きな詩織は念願かなって都内の出版社に就職。しかし、そこはオシャレのカケラもないどころか卑猥な写真と猥雑な言葉が飛び交う男性向け成人雑誌の編集部だった。理想とかけ離れた職場に最初こそテンションがダダ下がりの詩織だったが、女性編集長の澤木や女性ライターのハルなど、女性が「エロ」を追求している姿に刺激を受け成人雑誌に対して興味を持ち始める。しかし、そんな中、編集部で取り扱っていた雑誌で「とんでもないミス」が発覚。それを境に共に激務を戦ってきた同僚の編集者たちが次々と退社。オーバーワークで心も体も疲弊しきった詩織だったが、さらに追い打ちをかけるように衝撃的な事実を知ることになる。

監督

横山翔一
1987年10月22日生まれ。東京都出身。2017年『はめられて R oad toLove』が、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて北海道知事賞受賞。映像ディレクターとして、CM、映画、MVなどの企画・演出に携わる。2018年 大蔵映画新人監督発掘プロジェクトにて選出された企画を元に『新橋探偵物語』を監督。ピンク映画では珍しいポップな作風とスピード感ある斬新な演出が話題となり、映画関係者や文化人を唸らせ、その後、一般映画館でロングラン上映されるまでになる。また新しい感性のゲイピンク映画『強がりカポナータ』など、ピンク映画の垣根を広げる作品を監督している。

スタッフ&キャスト

監督 横山翔一
プロデューサー 宮嶋信光
脚本 山本健介、宮嶋信光、横山翔一
出演 杏花、ヤマダユウスケ、架乃ゆら、西洋亮、山岸拓生、菊池豪、岩井七世、春日井静奈、カトウシンスケ、グレート義太夫
スタッフ 佐藤直紀(撮影)/山口峰寛(照明)/川本七平(録音)柴田正太郎(美術)/杉崎匠平(装飾)/青木茂(衣装)森内陽子(スタイリスト)/安藤メヰ(メイク)/小笠原風(編集)/仁科亜弓、伊藤資隆、岸弘二、尾飛良幸、Makoto Okazak(i 音楽)「資本主義Workers」Marukido(挿入歌)「パレード」ナギサワカリン(主題歌)海外セールス 日活株式会社

上映スケジュール 7/28 thu – 8/1 mon

Director’s Voice

1.映画制作をはじめたきっかけは?

就職して新橋の制作会社でCM制作として働いていたが、家に帰れない日々が続く。会社に寝泊まりする生活の中、新橋の夜の街の人間の生活を垣間見る。彼ら、彼女らの映画を作りたいという思いが生じ会社を辞め、映画美学校で映画を作り始める。在学1年目で作った「たちんぼ」は新橋の中国人たちんぼ、2年目の卒制「はめられて Road to Love」では新橋の映像制作会社の人間たちの話を描き、ピンク映画「新橋探偵物語」では夜の新橋を舞台に探偵が活躍する活劇を作る。ということできっかけは新橋です。

2.影響を受けた作品や監督は?

川島雄三、コーエン兄弟、蔡明亮の作品。

3.本作の制作動機、インスピレーションは何でしたか?

東京オリンピックという歴史的大イベントの中で、かつてはコンビニ商品でトップクラスの売り上げを誇っていたエロ本が、自粛という形で市場から消えるという事件をリアルタイムで目の当たりにしたことが本作の一番の動機となりました。エロ本業界で働く人々への取材、そして自分がピンク映画を監督したことからこの時代に斜陽産業であるアナログなエロを生業とする人間たちへの思い、またエロに携わる女性たちの思い、自分が勤めていたブラック企業の女性の同期や先輩のこと、主演の杏花さんをはじめ良い役者たちに出会えたこと、などが作品を作る上でのインスピレーションになりました。

4.本作ではどんな困難に直面し、それをどう乗り越えましたか?

コロナ禍での撮影です。最善は尽くしていましたが、いつどうなってしまうか分からない不安の中での撮影は苦しく、なぜ我々はそれでも映画を撮るのかという問いを毎日のように投げかけられている心境でした。

5.本映画祭への応募動機と選出された心境は?

6年前のゆうばりファンタで、映画美学校で作りました「たちんぼ」をショートコンペに選んで頂いたり、次年には卒業制作「はめられて Road to Love」が長編で賞を頂いたことでピンク映画「新橋探偵物語」を作ることになったり、またさらにその次の年のゆうばりで「新橋」の主演俳優の長野こうへいさんと出会っていたり、自分の監督としての歩みはゆうばりから始まり、また育ててもらったという気持ちがあります。選出された時は所縁あるゆうばりに選ばれた喜びと、ここからこの映画の歩みが始まるという点で、大変気が引き締まる思いでした。

6.ご覧になる皆さんへメッセージを

この作品は3年間エロ本出版関係者に取材して作った映画です。物語の中で起こる出来事は一部脚色はありますが、全て実話を元に描かれています。またほとんど全ての登場人物に実在のモデルがいます。その人物たちの人生に思いを馳せながら、この映画をご鑑賞頂ければ嬉しいです。