弾ける

HAJIKERU

2022年/日本語/日本/27分

解説

息苦しく閉ざされた世界は時に、誰かの存在や声によって、ひび割れる瞬間がある。しかし。その世界の殻を破るかどうかの最後は自分自身の選択であるように思う。あの時のあの子は、あの時のあの人は、殻を破けたのだろうか。本作で、そんな狭い殻の中にいた彼女たち(とあなた)を救いたいという気持ちを今、「爆発」させたいと思う。早稲田大学映像制作実習2021年度作品の一つ。

あらすじ

高校を卒業をして地元のスーパーで働く夏実。毎日パートの主婦たちの噂話や母親と暮らしに窮屈な暮らしをしている。ある日、近所の主婦たちが不倫の噂をしている桂子という女性のことを夏実は耳にする。帰り道、川辺で一休みしていたところ噂をされていた桂子に出会う。夏実はメイクを教えてもらうことにより、次第に桂子に惹かれていき、この町を出て行きたいと思うようにる。そんな中、町では不穏な空気が漂い始める…。

監督

松林悠依
1997年、三重県生まれ。早稲田大学在学時にアメリカに留学し、ミニシアターに通う中で映画制作に興味をもつ。帰国後、初長編監督作品「夜の帳につつまれて」を制作し、PFFアワード2021に入選。音楽制作も行っており、前作、今作のエンディングともに作詞作曲をしている。

スタッフ&キャスト

監督/脚本 松林悠依
出演 吉野志乃、鈴木はるか、有賀さやか、鏑木悠利、河野通晃、まひろ玲希、小財真樹、藤原絵里、とよこ.D、川合結人、亀井力斗、木許昌子 
スタッフ 佐々木諒平 (撮影)/吉田航(撮影)/中野巧巳(照明)/横山拳吾(照明)/堀井勇士(録音)/渡邊百花(録音)/有松美汐(美術)/大河原諄(記録)/長尾佳音(衣装)/国崎奈那子(メイク)/増野惇子(メイク)/辻幸菜(助監督)/並木景(美術応援)/喜井大二朗(録音応援)/シャヒロヤス (スチール)/嶋本浅之(音響効果)

上映スケジュール 7/28 thu – 8/1 mon

Director’s Voice

1.映画制作をはじめたきっかけは?

大学三年時に、アメリカのポートランドに入学し、学校内のミニシアターで小津安二郎監督作品や勅使河原宏監督作品を観て、映画の魅力にはまっていきました。アメリカの友人が自主映画を作るということで、メイキングとスチールで参加させてもらいました。その時少人数での撮影でしたが、1カットずつ、どういう風にしたらよりよくなるかということを全員が真剣に考えている姿を見て、純粋にいいなあ、かっこいいなあと思いました。そこから帰国したら私も映画を作ってみたいという激しい衝動に駆られ、初めて長編映画を制作しました。

2.影響を受けた作品や監督は?

新藤兼人監督 「鬼婆」
勅使河原宏「砂の女」
アルフォンソ・キュアロン「Y tu mamá también」
アンドレア・アーノルド「Fish Tank」
ケン・ローチ「Sweet Sixteen」

3.本作の制作動機、インスピレーションは何でしたか?

地元にいた時に考えていたことや過去に出会った人たちが、あの時何を思い、生きていたのかということを考えている中でこの映画のイメージが膨らんでいきました。その結果として、最後のシーンにたどり着きました。もしも、この空間で「あれ」が爆発したら、と想像しただけでその日、数時間で企画書を一気に書いたのを覚えています。今回の作品や前回の作品を通して、いつも「怒り」や「悲しみ」が私の中での創作の原点であるとを強く感じました。

4.本作ではどんな困難に直面し、それをどう乗り越えましたか?

今作品は早稲田大学の「映像制作実習」という授業で作られました。受講生の多くは映画制作が初めてで、違う学科の人同士でグループを組んで制作します。
最後のシーンで主人公の夏実がどういう理由で最後の行動にでるのかということを企画の最初から撮影の直前まで悩みました。指導してくださる先生方からのコメントをヒントに、班員で何度も話をしながら考えました。悩んでいる時間が大半でしたが、班員が、最後まで支えてくれたおかげで完成しました。様々なバックボーンを持っている人たちが集まり、それぞれが違った角度で物事を見ていて時にぶつかることもありましたが、それも含めて議論する中で作品がどんどんよくなっていく感覚がありました。

5.本映画祭への応募動機と選出された心境は?

劇中において、「ファンタスティック」なシーンがあるので、そこを少しでも多くの方に観ていただきたいという思いで応募しました。
ゆうばりホープという昨年から新設された部門で選出していただけたことは、今まで悩みながらもやってきたことが救われる思いで、大変嬉しいです。

6.ご覧になる皆さんへメッセージを

一人の女の子が誰かのために、自分のために変わっていく姿を観ていただきたいです。この作品を観た後に、少し心が晴れるような気持ちになってくだされば嬉しいです。
個性豊かなキャストの表情にも注目です!