2021年/韓国語/韓国/8分/ジャパンプレミア
解説
現在の韓国は経済開発協力機構(ОECD)加盟国の中で最も自殺率が高く、幸福度は最下位圏です。頭部がない人々が登場するディストピア的ファンタジーによって、韓国社会で苦しみながら生きる人々が感じる絶望感を描こうとしました。
あらすじ
頭部がない人が大多数を占める世の中。主人公ドゥソンはまだ頭が残っている警察官の一人だ。彼は性的暴力事件を担当するが、容疑者も被害者も頭部がなくなって事件は迷宮に陥る。そして、自分の娘まで頭が消えてしまったのを目撃したドゥソン。選択の時が迫る。
監督
ペク・ベスン
ソウル科学技術大学でデザインを専攻し、2015年から映像制作者・監督として活動してきました。2020年から上海に住み、ソウルと行き来しながら映像制作をしています。
スタッフ&キャスト
監督/脚本 | ペク・ベスン |
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プロデューサー | アン・ヒョンジュン |
出演 | パク・ソンテク、アン・ウォンヒョン、キム・ジウ、イ・ヤング |
スタッフ | クク・ドウォン(演出補)/ペク・ベジン(撮影)/キム・スンファン(照明)/パク・ジョンウン(美術)/シム・ギョンア(衣装)/チョ・ヒョンジュ(音楽)/オ・ソンファ(ミキシング)/ナムグン・ソンイ(色補正) |
© ペク・ベスン
上映スケジュール 7/28 thu – 8/1 mon
Director’s Voice
1.映画制作をはじめたきっかけは?
幼少期から映画が好きな子どもでした。きっかけがあったかどうかは覚えていませんが、気づいたら撮影現場にいました。
2.影響を受けた作品や監督は?
ティム・バートン監督の影響が大きいです。『 スリーピー・ホロウ 』や『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』などに頭部がなかったり、切られたりするイメージが登場します。子どもの頃に見たそのイメージが残っていて、この映画に発展していったと思います。
3.本作の制作動機、インスピレーションは何でしたか?
10代の頃から難病で何度も手術を受けました。とても辛く、自殺を考えたこともあります。 そんなある日、韓国の自殺率が世界で1位だというニュースを見ました。韓国で絶望を感じながら生きてている多くの人々の心情を「頭部がない人」として表現し、映画に盛り込もうと思いました。
4.本作ではどんな困難に直面し、それをどう乗り越えましたか?
準備作業の段階で、警察が捜査の際にどんな感情をもつのかを把握するのが難しかったです。そこで実際に警察の方に会ってインタビューし、不足していた部分を補うことができました。 ポストプロダクション段階では、たくさんの人の頭部を消す作業が本当に大変でした。多くの時間をかけることしか克服の方法はありませんでした。
5.本映画祭への応募動機と選出された心境は?
アジア屈指のファンタスティック映画祭ですから、撮影時から出品を考えていました。待ちに待った映画祭でしたので選出の知らせはとても嬉しかったです。いま住んでいる上海は封鎖されていて動けませんが、封鎖をくぐって北海道に飛んでいきたい気持ちです。
6.ご覧になる皆さんへメッセージを
この映画の主人公は、自らの基準で自殺する人々を弱いと考えて見下します。もし皆さんの近くに魂を失ったように力なく生きている人がいれば、この映画の主人公とは違う温かい心で困難に直面した人々に接してほしいと思います。ありがとうございます。