光の輪郭と踊るダンス

2021年/日本語/日本/81分

解説

『どんな世界でも今踊りたい。』日常をゆるやかに破壊するラブリーな超常現象で【こんなご時世】をポップ&アイロニカルに切り裂きながら、「いつの時代も決して変わらない人間のゆらぎ」を捉えた衝撃作。「口から光線が出る世界」で繰り広げられる極彩色で詩的な人間ドラマは、見る者の感覚をもれなくジャックします!岡本昌也監督(新人)、長編映画デビュー作。演劇界の若手個性派・実力派俳優と新進気鋭の音楽ユニット「バカがミタカッタ世界」の劇伴で送る“コロナ禍への新しい応答”

あらすじ

2020年。冬ごろから、世の中にある感染症が蔓延しはじめた。「口から光線が出る」という独特な症状を持ち、出どころも治療法も分からない。その病はいつしか〝呪い〟と呼ばれるようになった。〝呪い〟が流行するなか、映画監督を志す平凡な青年、首藤はカメラを持ってよなよな外出を繰り返す。首藤はファンタスティックな映画を撮りたかったが、金もセンスも無かった。光の飛び交う同じ街では、赤い髪の少女ルルが4年前に失踪した姉、ヒソカを探している。ある日、首藤が街で闇雲にカメラを振り回していると、どこからともなく声がした。「撮って?あたしの映画。」振り向くと、そこにはヒソカと名乗る、奇怪なアウラを放つ少女が立っていた。今夜も空に光線が伸びていく。

映画祭参加経歴/表彰

MOOSIC LAB [JOINT]2020-2021にて上映。

監督


岡本昌也
演劇作家・演出家・映像作家。1995年生まれ。劇団「安住の地」所属。演劇を主軸に映像・音楽・ファッションなど様々なカルチャーを越境し、ミクストメディアな作品を発表する。KAAT 神奈川芸術劇場にて上演した『ボレロの遡行』でかながわ短編演劇アワード2021グランプリを受賞。MOOSIC LAB[JOINT]2020-2021『光の輪郭と踊るダンス』で長編映画監督デビュー。その他にも、インターネットに投稿された「自撮り映像」をコラージュしたドキュメンタリー『えっと、@創造主、ふわり終末ろん、feat.世界。』など、予想外の手つきで鮮烈な映像世界を作り出す。

スタッフ&キャスト

監督/原作/脚本 岡本昌也
プロデューサー 日下七海
出演 日下七海、雛野あき、山脇辰哉、森脇康貴、沢栁優大、村上京央子、億なつき
スタッフ バカがミタカッタ世界(音楽)
荻颯太郎(助監督)
中谷利明(撮影・照明)
清水雪名(録音)
中野コナン(録音)
大平順子(衣裳)
篁怜(ヘアメイク)
直井卓俊(企画協力)

上映スケジュール 9/16-9/20

9/16(木)00:00〈9/15(水)24:00〉より配信スタート!880円で72時間観放題!ご購入(課金開始)いただけるのは9/18(土)23:59までとなっています。Huluの作品と合わせて“計画的”にお楽しみください。
※ご視聴にはプラットフォームVimeoへの登録とお支払いが必要です。

Director’s Voice

1.映画制作をはじめたきっかけは?

演劇に没頭していた学生時代に、詩を読んだきっかけで寺山修司の存在を知り、彼の映画も見始めました。唯一無二の世界観に圧倒されながらも良い意味で「これなら僕でも撮れるくね?」と思わせてくれる手つきで、いつか映画作りに挑戦してみたいものだと思っていました。するとコロナ禍がやってきて演劇活動がすべて頓挫し、ぽかんと時間が空いたので「時は来た」と……笑。他にもきっかけは色々とありますが、結局はシンプルに「撮りたかったから」に尽きます。これからも撮り続けたいです。

2.影響を受けた作品や監督は?

きっかけの寺山もそうですが、直接的に影響を受けた監督は大林宣彦さんです。晩年ちかくの戦争三部作『この空の花』『野のなななのか』『海辺の映画館─キネマの玉手箱』を見た時、創造が人間に与える計り知れないインパルスに見事に撃ち抜かれました。今でもバイブルになっています。あとはタランティーノ監督や園子温監督のような〝2、3個やりすぎている〟映画も大好きです。ちなみに僕は、園監督の『夢の中へ』という映画を舞台化したことで演劇のキャリアが始まりました。上演許可のメールが届いた時の気持ちは今でも忘れられません。

3.本作の制作動機、インスピレーションは何でしたか?

2020年の4月に緊急事態宣言(いまや何の機能を持った宣言なのかよくわかりませんがその当時は大変な衝撃だったのです)が発令され、世界が一変しました。フィクションよりもフィクションな現実で生きていく中で僕は、不謹慎にも「このご時世を舞台に物語を紡ぎたい」という衝動に駆られました。コロナ禍の真っ只中に撮影された本作は突如失われたかつての日常への追悼と、これからの異常事態を生きていくための反射神経のようなものだったのかもしれません。不織布マスクの人々、営業中止の張り紙、閑散とした街並み、すべてが絶好の(と、言ってしまいます)ロケーションでした。もうこんな映画は撮れないです。

4.本作ではどんな困難に直面し、それをどう乗り越えましたか?

撮影初日、カメラマンに「シャッタースピードってなんですか?」と聞いて絶句されたことを記憶しています。映画のえの字もわからない状態で始まった映画作り、かつコロナ禍での制作はここでは語り尽くせないほどの困難がありました。しかし、脚本・俳優・音楽が螺旋状にねじれ「フィクションが現実を超える瞬間」が立ち上がってゆく度に、無尽蔵に力がみなぎるのでした。みな僕自身が身を持ってその魅力を体感してきた俳優・スタッフ・音楽家たちと作ったので今思い返しても夢のような日々です。ただ、体重は49kgまで落ちました。また、本作は「光線」の表現を一コマずつ手書きで行っているので編集中は死を覚悟しました。

5.本映画祭への応募動機と選外と知らされた時の心境、その後ゆうばりホープ選出の葛藤は?

この映画は僕としては大変な傑作ですので、応募動機も「傑作だから」以外の理由はありません。もっとたくさんの方に見ていただきたいです。他にも二、三映画祭へ応募していましたがすべて落選し、とある映画レビューサイトでは「わからなかった」「芸術家気取りのマスターベーション」「時間と金の無駄」と酷評に次ぐ酷評を受けていたので、むしろゆうばりホープに選出いただいて何かしら救われたような気分。感謝です、ファンタスティック!

※ゆうばりホープは惜しくも選外となった中から将来性が光る若手監督の作品を紹介する新カテゴリーです。

6.ご覧になる皆さんへメッセージを

誰もが日々、思いもよらぬところから飛んできた呪いに当てられて苦しんで、また自分や人を呪ってしまって廻り続けるから、誰かがどこかで、祈りに反転させなきゃいけなくて、それはすごく勇気とエネルギーが必要なことだけど、今生きてる人ってひとりひとり、そういうのをやっているんだと思います。お疲れ様です。てなわけで、どんな世界でもダンスを踊りましょう、この映画みたいに!どうか思いっきり楽しんでください!