幽かな光

Ghosts' Wishes

2020年/日本語/日本/31分

解説

米子高専放送部の2020年度3年生以下チームによる作品。スタッフ、キャストは全員が高校生年代であるが、脚本、撮影に力を入れ、質の高い作品に仕上げた。その結果、高校生のためのeiga worldcup2020では、最優秀作品賞を受賞した。企画は、監督を担当した山本が、知人の死に接したことをきっかけに、生きていくことに対して真摯に向き合うことを描こうとスタートした。同時に、コロナ禍で、自分たちが参加するはずだった高校最後の放送部の大会が中止になった悔しさを記録するために、新型コロナ感染の影響で部活動が制限されていく様も盛り込んだ。植田正治写真美術館周辺でのロケも行い、大山など鳥取ならではの田舎の風景が登場するのも魅力のひとつである。

あらすじ

山田光莉はちょっと変わった『見える系』の写真部部員。日々、学校にいる地縛霊を目にして生活しているが、そのことを人に話すこともなく、孤立している。写真部には、心霊写真を撮るために入部したものの、3年生の沢渡先輩のSDカードを上書きして、大事な作品を消してしまったため、気まず過ぎてすっかり幽霊部員になってしまっていた。山田が消してしまった傑作写真を、今一度撮ろうと頑張っていた沢渡先輩は、ある日、撮影中の事故で命を落としてしまう。山田の目の前には、死んだはずの沢渡先輩が現れ、先輩の死は自分のせいと負い目を感じる山田は、渋々、写真を撮り始めることになる。

監督

山本善博
米子高専放送部に入部したことをきっかけに映像制作に取り組み始める。情報・通信分野の勉学に励みながら、放課後の部活動では、ラジオ番組の制作から米子市と連携したPV撮影など幅広く活動している。映画制作には1年次に役者として初めて参加した。その後、2年次には、「キラルキラきらキラid」で初めて監督を担当。そして3年次に制作し、監督を務めた「幽かな光」は高校生のためのeiga worldcup2020で最優秀作品賞を受賞した。現在は撮影と編集技術を中心に後輩育成を行っている。米子高専5年電気情報工学科在籍。

スタッフ&キャスト

監督/脚本 山本善博
プロデューサー 田中晋
脚本 松本颯人、坂口明日香、山﨑晴日、山本善博 他
出演 坂口明日香、松本颯人、河上遥斗、丸山桐花、下山虹、長谷川小雪、浅井優樹、石原琉翔、森隼人、深堀久美子
スタッフ 米子高専放送部eigaチーム(企画)/山本善博、長谷川小雪 他(撮影)/下山虹、新井紀香 他(音声)/山本善博、新井紀香 他(美術)/長谷川小雪(OPアニメ)/山本善博、浅井優樹、河上遥斗(編集)/田中晋(顧問)/米子工業高等専門学校放送部(制作)

上映スケジュール 7/28 thu – 8/1 mon

Director’s Voice

1.映画制作をはじめたきっかけは?

米子高専放送部に入ったことが映画制作を始めたきっかけです。中学生の時に行った、入学説明会で流れた学校紹介ビデオの制作が放送部だったのを見て、放送部の存在を知りました。運動が苦手だったのに加えて、中学の部活とは違うことをやってみたかったので放送部に入部しました。初めて映画制作に参加したのは、1年の夏休みです。その時は高校生のためのeigaworldcupというコンテストに出品する作品を制作しました。先輩方と現場で撮影するのがとても楽しく、現場を指揮する先輩方がとてもかっこよかったのを覚えています。

2.影響を受けた作品や監督は?

一番大きく影響を受けたのは、先輩方が制作された作品です。元々、自分が映画をよく見ていた訳では無かったので、身近にあった先輩方が制作された作品が参考になりました。撮影方法の工夫や撮影機材の使うタイミングなどを考えるときは、先輩方にどの作品でどんな使い方をしたかを直接聞いて、過去の作品と照らし合わせて考えていました。編集時には、感情を表現する間のとり方やシーンに合わせたカメラの切り替えなどを、過去の先輩方の作品を見て真似するように自分の編集に取り入れていました。

3.本作の制作動機、インスピレーションは何でしたか?

この映画を構想する1年前に、私の小学生の頃の恩師が事故で亡くなったと同級生から連絡が入りました。まだ40代と若いうちに亡くなってしまったのでとてもショックでした。その恩師と最後に会ったのは中学卒業の頃で、その時に高専に入学することを伝えると、「将来がとても楽しみだ」と言われました。何も恩返しができないまま終わるのはだめだと思い、恩師の教え子の将来が見たかったという未練と、自分の恩返しがしたかったという未練を無くすという2つの意味を込めて、「未練」をテーマにこの映画を制作しました。

4.本作ではどんな困難に直面し、それをどう乗り越えましたか?

本作の構想をしている時は、新型コロナのため、学校はちょうどオンライン授業真っ只中で、部活動も全て遠隔で行っていました。実際に会って会議をすることができず、脚本を作った後も本当に撮影ができるのか分からない中、構想を考えるのはとても不安でした。できるだけ授業以外の時間でYoutubeなどでアイデアのインプットを増やしつつ、毎日パソコンと向き合って通話とテキストでのやり取りを重ねて、最後は後輩が出してくれた構想と僕の構想を合わせてなんとか完成しました。撮影が始まるまで台本合わせやカメラワークの相談ができなかったので撮影はかなり大変でした。

5.本映画祭への応募動機と選出された心境は?

私たちが制作した作品をもっと多くの人に見てもらいたかったので、この映画祭に応募しました。今までは、高校生のコンテストに作品を出品することがほとんどで、私たちの制作した作品が見てもらえる機会も限られていました。高校生の映画はなかなか選んでもらえないだろうと思っていたので、今回、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭でゆうばりホープに選出していただけてとても嬉しいです。そして、私たちの作品を今までよりも多くの方に見ていただき、高校生の映画制作をさらに盛り上げていけたら嬉しいです。

6.ご覧になる皆さんへメッセージを

高校生が作った作品を初めて見る方もおられると思います。もしかしたら他の方の作品と比べて、撮影法、編集などで技術的に至らないところがあるかもしれません。その代わり、私たちが表現したかった高校生ならではの発想が詰まっていると思います。特に、登場人物の心情の揺れ動きを意識して作品制作を進めたので、そこに注目して見ていただきたいです。そして、私たち米子高専放送部は映画制作だけでなく、ラジオ・テレビ番組制作など様々な活動を行っています。今回の作品を見て興味が湧いたらネット等で調べてみてください!