熊と父

Bear and Father

2022年/日本語、英語/韓国/76分/ジャパンプレミア

解説

父親を懐かしむ男性が息子と夕張を訪れ、映画を作る事件を幽霊の視点で見つめる物語です。素朴ながら心のこもった映画ごっこの中で、彼らは忘れかけていた記憶をよみがえらせ、苦い記憶に別れを告げます。そして映画を愛する心から生まれたエネルギーによって、夕張に送る祝いのメッセージが完成します。

あらすじ

2016年のゆうばり映画祭で、幽霊と父子が自作の映画を鑑賞します。実は彼らは途中でこの映画の制作をあきらめましたが、夕張からの手紙で制作を再開し、完成させたのです。幽霊は映画を見ながら、これまでやり取りした手紙を思い浮かべます。

監督

チョン・ジュヒョン、チョ・ヘジュン
主に映像を共同作業し、2016年から本格的に仕事を始めました。 制作した映像は国立現代美術館や上海外灘美術館などに展示、所蔵されています。「熊と父」は共同監督を務めた初の長編映画です。

スタッフ&キャスト

監督/演出 チョン・ジュヒョン、チョ・ヘジュン
出演 平島望、チョ・ドンファン、チョ・ヘジュン
スタッフ ホン・スンジン(音楽/サウンド)、チョン・ジュヒョン(撮影/編集)、チョ・ドンファン(メーキャップ)、イ・ヨンス(録音)、イ・ギョンス(アドバイザー)、平島望(日本語翻訳)、アン・ヨンギョン(英語翻訳)

上映スケジュール 7/28 thu – 8/1 mon

Director’s Voice

1.映画制作をはじめたきっかけは?

私がいつも感じている映画の魅力は、極めて個人的な物語が特別なものに見える空間になることです。どんな些細な個人史でも、その中に本人も知らなかった物語を発見できると思います。そうした点に魅了されて映画を専攻し、次第に映画作りに近づいていきました。  そしてチョ・ヘジュン作家とチョ・ドンファンさんに出会い、意味深い作業を経て一歩進むことができました。

2.影響を受けた作品や監督は?

金綺泳、クロード・シャブロル、タヴィアーニ兄弟、アリーチェ・ロルヴァケル、溝口健二、大林信彦、勅使河原宏など、インスピレーションを受けた監督は数え切れませんが、この映画に関してはジョン・アヴネットの「8月のメモワール」、ケネス・ブラナーの「スルース」、崔寅奎・方漢駿の「授業料」から力と癒しをもらいました。

3.本作の制作動機、インスピレーションは何でしたか?

チョ・ドンファンさんの短いおとぎ話と夕張という場所をもとに本作を作り始めました。事実と虚構が入り混じりパロディとオマージュが飛び交うので、ある面ではユーモラスに見えるかもしれません。しかしその中心には、80歳を超えた一人の人間が自身のつらい過去を映画芸術として昇華させようとする努力があり、その原動力として人間と生命に対する深い愛情と誠実さがあります。それが映画制作のインスピレーションと力になりました。

4.本作ではどんな困難に直面し、それをどう乗り越えましたか?

短いおとぎ話と夕張から始まった映画は、脚本から撮影、完成まで挑戦の連続でした。シナリオを書きながら映画の外では互いに力を競い合っていたコンセプトが、映画の中に入ると一つの設定に過ぎなくなり無気力化することもありました。しかし、だからこそ映画は激しく悩むべき魅力を持っていると思います。恥じたり懐疑的になったりもしましたが、多くの人々のおかげで、その気持ちは確信に変わっていきました。

5.本映画祭への応募動機と選出された心境は?

映画を作りながら一人で何度も手紙を書いたり消したりし、ゆうばり映画祭にも送りました。ゆうばり映画祭からの連絡を受けた瞬間は、この映画が物語として続くことに、言葉にできない感謝と感動がありました。特にゆうばりチョイス部門に選定されたことに深い意味を感じています。

6.ご覧になる皆さんへメッセージを

映画のセリフにもありますが、夕張ロケを終えて帰る私たちに慣れない韓国語で書いてくださった、
「完成した作品はどこで見られますか」
「どんな内容ですか」
「素敵な作品になることを祈ります」
「夕張メロンは夕張の名物です。夏になったら食べに来てください」
という手紙に返信できることが嬉しいです。
夕張とともに作ったこの映画。たき火を起こせば、あとはあなたにここに来て見てもらうだけです。