くっつき村

2021年/日本語/日本/26分/ワールドプレミア

解説

俳優として活動してきた長谷川千紗の初監督作品です。主演に俳優仲間のしじみを迎え、脇を個性的な出演者たちが固めます。初監督作品にして、同じくデビューのカメラマンと、時代劇ファンタジーに挑んだ怪作です。

あらすじ

欲しいものが特にない、やっと本当に欲しいと思ったものは手に入らない。そんな日常に嫌気がさしたフニャコは、バイクに跨り、ここではない場所を求めて旅に出る。旅の途中で迷い込んだのは、夫婦が背中がくっついて産まれてくる村。彼らは背中合わせに一対となって生活をしている。お互いの顔を見たこともなく、愛する人を抱きしめることもできない。フニャコは彼らの生活を観察しているうちに、行きたいと思っていた場所は実はすぐ近くにあるのかもしれないと思い、再び日常に戻っていく。

監督


長谷川千紗
2001年早稲田大学在学時に演劇を始め、その後、数々の舞台に出演。2016年自身の脚本・主演作『憂鬱な花』がゆうばり国際ファンタスティック映画祭で上映、日本芸術センター第8回映像グランプリ、第一回渋谷ミクロ映画祭主演俳優賞受賞。その後、活動の場を映画に映し、出演、制作を続ける。2020年第一回シン・シネマアワード最優秀主演女優賞(『サイドストーリー』)、2018年度ピンク大賞新人女優賞受賞、ぴんくりんく最優秀助演女優賞、2019年ぴんくりんく優秀女優賞、2020年ぴんくりんく最優秀助演女優賞。海外で毎月約30万部発刊される日本の文化的情報を総合的に発信する月刊誌zoom japonにおいて、princesse du pinkuとして紹介される。本作が初監督作品。

スタッフ&キャスト

監督/プロデューサー/原作/脚本 長谷川千紗
出演 しじみ、長谷川千紗
スタッフ 堀惠磨人(照明)
堀惠磨人(撮影)
長谷川千紗(音楽)

上映スケジュール 9/16-9/20

Director’s Voice

1.映画制作をはじめたきっかけは?

元々、長い間俳優をしていて、シナリオを書いたこともありました。私の脚本・主演作である『憂鬱な花』という作品を見てくれた、ある人生の大先輩が、「人生はチャレンジしなきゃダメ。どうせ失敗すると思うけど、失敗する前よりはできることが多くなっている。そうしたら次のチャレンジは一回目よりも成功に近い。自分で監督もしてみなさい」と強く勧め、制作資金をくれました。

2.影響を受けた作品や監督は?

自分が俳優として出演してきたすべての現場
レオス・カラックス「汚れた血」
今村昌平「楢山節考」
まんが日本昔ばなし
シナリオの相談をした堀井彩監督

3.本作の制作動機、インスピレーションは何でしたか?

山口県の民話で、夫婦は昔、背中合わせにくっついていたというものがあります。その民話の中で、夫婦はどうしてもお互いの顔が見たくなり、神様に離してもらいます。しかし、夫は自由になったことが嬉しすぎてどこかに行ってしまい、妻は悲しみながら夫を探します。妻だって自由を楽しみたいんじゃないかなと思ったこと、顔を見たことがないけどずっと好きだった人の顔を初めて見て、全然タイプじゃなかった時、それでも好きでいられるかなと疑問に思ったことがこの映画の制作動機です。それと、大好きな『楢山節考』みたいな、田舎の村の話を作りたいと思いました。

4.本作ではどんな困難に直面し、それをどう乗り越えましたか?

だいたいの予算以外は何も決まっていなかったのですが、最初は自由過ぎて、身動きが取れない時期がありました。『くっつき村』を私とカメラマンの二人で作ろうと決めてからも、二人とも初めての映画制作だったので、困難しかありませんでした。自分の頭の中で想像したことを、目に見えるものに作り上げるのは、狂気の旅だと思いました。こんな非現実的な話を映画化できるのか?と何人かの人が心配してくれたし、自分も撮影直前に不安になりました。だけど、俳優兼助監督をしてくれた人が、淡々と実務をこなしてくれ、その人が参加をしてから、この映画は絶対できると思いました。一人の人間の持つ力の大きさと、組って不思議なものだと感じました。

5.本映画祭への応募動機と選出された心境は?

日本最大のファンタスティック映画祭ですので、自分の映画の作風と合っているし、自分の映画を面白がってくれる懐の広さをこの映画祭には感じていました。選出されて初めて、映画を作り上げたこと、協力してくれた人への感謝の気持ちを実感し、この映画を世に出すことへの責任を感じました。

6.ご覧になる皆さんへメッセージを

この映画で、私が今思う理想の愛の形を描きました。この映画のどの部分でも楽しんでいただけたら嬉しいです。