共振

2021年/日本語/日本/100分/ワールドプレミア

解説

他者の身体的苦痛や感情面に極めて共感性が強い性質(=エンパス性)を持った主人公の葛藤という、これまで映画で描かれてこなかったモチーフについての映画、というのが本作の見どころです。コロナ渦の現在、職場でもSNSでも、”痛み” を抱えた人で溢れている状況です。痛みが、痛みを呼び、同心円状に痛みが広がっているような現在。そんな今だからこそ観ていただきたい”痛み”についての映画。“痛みへの共感”それを、束の間でも「痛み」を忘れられるような、最高に面白いエンターテイメント作品として描き切る物語を作りたい、観ていただきたい、そう思って製作した作品です。是非、楽しんでご覧ください。

あらすじ

生来、人一倍、他者への共感性が強いエンパス性質である萱野岳彦は、ある凄惨な事件に巻き込まれたことをきっかけに、他者が感じる身体的な痛みを、まるで自分の痛みのように感じる体質になってしまう。以前のような生活を送れないどころか、家から出ることもままならない岳彦。手当たり次第、医師にかかるのだが、適切な治療法がわからないという苦悶の日々が続く。そんな岳彦は、ある日、エンパス性質の人を対象とした、臨床試験(治験)の募集を見つけ、それを受けることを決意する。岳彦は、認知行動療法の研究者、石井栞里の元、セラピーを受け症状が快復に向かっていたと思われたが…

映画祭参加経歴/表彰

カナザワ映画祭2021「期待の新人監督」上映予定

監督


樋口慧一
1991年生まれ。熊本大学卒業。映像制作会社に勤務した後、2016年に独立。フリーの映像ディレクターとして活動をスタート。CM、MVを中心として映像演出を行い、近年は映画制作に力を入れている。一年に一度、映像のさまざまな領域から、優れた作品を作り出したクリエイターを選定する「BNN映像作家100人」に選ばれる。

スタッフ&キャスト

監督/脚本 樋口慧一
プロデューサー 光宣
出演 山本晃大、山口大地、森山みつき、相馬圭祐、吉野公佳、光宣
スタッフ 大手泰寛(照明)
高根澤亮(撮影)
町屋秀高(音楽)
内藤和幸(録音)
日比野朗(助監督)

上映スケジュール 9/16-9/20

プログラミング・ディレクター塩田時敏コメント

共感力や感情移入が強く、他者の痛みや感覚を共有してしまう〈エンパス体質〉。クローネンバーグ監督が喜んで描きそうなテーマに果敢なる挑戦。不安でヒリヒリする映像に誰しもが《共振》するかは体質によろうが、コロナ禍で痛みが実感できる状況になった事は確かだ。自慰場面は頻出するが決してマスタベーション映画に終わってはいない。吉野公佳の復帰作で、カナザワ映画祭コンペと同時ブッキングの注目作。

Director’s Voice

1.映画制作をはじめたきっかけは?

もともと、映画は大好きで撮りたいと思っていました。私が今、CM等の映像ディレクターの仕事をしていて、フィールドが少し近いだけに、映画を撮ってみたいという欲求が日ごとに高まっていき、我慢できずに自主映画を撮り始めたという次第です。実際に撮ってみると、あまりに大変で、そしてあまりに楽しくて、これはやめられないなと思いました。

2.影響を受けた作品や監督は?

中学生の時に観たデヴィッド・フィンチャー監督『ファイト・クラブ』に衝撃を受け、そこから、映画が大好きになりました。遡ってたくさん映画を観るようになってからは、『タクシードライバー』『めまい』などに影響を受けました。また、近年の作品だとジョーダン・ピール監督『ゲット・アウト』には強い衝撃を受けました。

3.本作の制作動機、インスピレーションは何でしたか?

も企画を考え始めた時期がちょうど、2020年の初めての緊急事態宣言発令あたりで、周囲に困惑や怒り、悲痛の声が蔓延しているような状況でした。そんな中だからこそ、「痛み」と「痛みへの共感」というテーマで、何か撮ってみたいなというところから企画を考えました。

4.本作ではどんな困難に直面し、それをどう乗り越えましたか?

共感(エンパシー)という目に見えないものをどう視覚的に表現するのかというところに腐心しました。人の感覚の内側を、説明的にならずにかつ視覚表現として豊かに表現することが難しく、何度もチームでディスカッションを重ねました。結果、本作では、黒い空間と、そこにいる生まれたままの姿の登場人物たちという、非常にシンプルなビジュアルで視覚化しました。

5.本映画祭への応募動機と選出された心境は?

個性豊かで、エンターテイメント性の高い作品が数多く上映されるゆうばり国際ファンタスティック映画祭は、以前から大好きで、上映作品も毎年拝見していました。そして、映画を撮った際には是非、応募したいとかねてから思っていたので、今回応募させていただきました。選出していただいて、まず、光栄で大変嬉しく思っています!作っているときは、ただただ必死で自分たちが最高に面白いと思える映画を撮ることだけに集中していましたが、そんな本作に、観てくださった方がどんな感想をいただくのか、とても楽しみで、そして少し怖いです。

6.ご覧になる皆さんへメッセージを

コロナ渦の現在、職場でもSNSでも、”痛み”を抱えた人で溢れている状況だからこそ観ていただきたい、「痛みと共感」の映画です。というと、苦手な映画かも…と抵抗を持つ方もいるかもいるかもしれませんが、エンターテイメント作品です。”痛み”についての物語を、束の間でも”痛み”を忘れられるような最高に面白い作品として描き切ろうという想いのもと制作した作品です。是非、楽しんでご覧ください!