PARALLEL

2021年/日本語/日本/82分

解説

大学の卒業制作ながら、ジャンルの垣根を超えて国内外の多くの映画祭で注目を集めたヒーロー映画『FILAMENT』の田中大貴監督。初長編作品である今作『PARALLEL』は、“誰にも言えない傷を抱えて生きる少女”と美少女アニメキャラクターのコスプレ姿で殺人を繰り返す“アニメの世界に行きたい殺人鬼”との心の交流を描く、異色の映画となっている。二人のメインストーリーはもちろん、脇を固める個性豊かな曲者達の演技にも目が離せない。痛く、残虐なシーンの先に待つ、この映画でしか味わえない感覚に注目だ。

あらすじ

幼少期に両親から虐待を受けていた舞は、その過去の記憶と折り合いをつけられず、親友の佳奈とただ時間を忘れて遊ぶ日々を過ごしていた。ある日、舞はアニメキャラクターのコスプレ姿で殺人を繰り返す、コスプレ殺人鬼に遭遇する。不思議と舞に興味を惹かれたコスプレ殺人鬼は自分の正体を隠し、舞に近づいていくのだった。舞は心の傷を、殺人鬼は自分の本当の姿を隠しながらも、二人は次第に仲を深め、見えない”何か”によって強く惹かれあっていく。しかし、お互いが隠している本当の姿を知ることは、別れを意味していた。

映画祭参加経歴/表彰

沖縄国際映画祭2021 招待上映

監督


田中大貴
日本大学芸術学部映画学科監督コースを卒業し、現在はフリーランスの映像ディレクターとして活動中。大学の卒業制作として制作したヒーロー映画『FILAMENT』が沖縄国際映画祭2019で審査員特別賞や日本ポストプロダクション協会アワード2017学生映像技術ドラマ部門でシルバー賞、カナザワ映画祭2017の審査員特別賞、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018ノミネートなどジャンルの垣根を超えて国内外の様々な映画祭で入選・受賞を果たす。今作『PARALLEL』が長編初監督作品となる。

スタッフ&キャスト

監督/プロデューサー/原作/脚本 田中大貴
出演 楢葉ももな、芳村宗治郎、菅沢こゆき、十代修介、ひと:みちゃん、ふじおあつや、ミネオショウ、村田啓治、灯敦生
スタッフ 田中大貴(撮影、照明、編集、特殊造形、VFX)
Samadova Tahmina、岡田真一、石浜あゆみ(録音)
加藤賢二(音楽)
菊地智敦(音楽プロデューサー)
足立悠介(カラリスト)
Kensuke Itoh(リレコーディングミキサー・サウンドデザイナー)
遊木康剛(アクションコーディネート )

上映スケジュール 9/16-9/20

プログラミング・ディレクター塩田時敏コメント

今年のコンペティションで、いかにもファンタ的な“セクションスプラッター”を担うのはこの作品。アニメの世界に行きたいコスプレ殺人鬼MEETS幼少期の被虐待記憶を消せない女。ボーイ・ミーツ・ガール。青春×ゴアが次世代の若手、楢葉ももな、芳村宗治郎、菅沢こゆき等の好演でキッチリ描かれる。血の色彩さえ美しく煌めく、パステル・ネオンのスプラッター。

Director’s Voice

1.映画制作をはじめたきっかけは?

小さい時からスターウォーズやターミネーターといったハリウッド映画が大好きで、いつか自分も映画を作ってみたいなと漠然と思っていました。そして高校3年生の夏に、ほとんどの同級生が受験勉強に取り組んでいる中、そのチャンスがやってきました。親や先生の反対を押し切って、同級生達と学園祭に流すため映画を時間を忘れて制作し、学校中の先生や生徒達が映画を楽しんでくれた“あの瞬間”は今でも忘れられません。その映画制作をきっかけに日本大学芸術学部映画学科監督コースへと進学し、映画制作を続けてきました。

2.影響を受けた作品や監督は?

スターウォーズ(ジョージ・ルーカス監督)
ターミネーター1&2(ジェームズ・キャメロン監督)ブレードランナー
グラディエーター(リドリー・スコット監督)
ダークナイト(クリストファー・ノーラン監督)
アイアンマン(ジョン・ファブロー監督)
ドライヴ(ニコラス・ウィンディング・レフン監督)
スーパー!(ジェームズ・ガン監督)ロ
ーガン(ジェームズ・マンゴールド監督)
悪魔のいけにえ(トビー・フーパー監督)
十三人の刺客(三池 崇史監督)

3.本作の制作動機、インスピレーションは何でしたか?

ある日、友人から悩みを打ち明けられたのがきっかけで、人間が持つ“変身への渇望”や、人生を変えてしまうほどの力を持つ“心の傷”、そして“親と子の関係性”にとても興味を持ち、自分が生きているこの世界とは別の世界に行きたいと考えた人物の物語が頭に浮かびました。実写映画でこの物語を描くにはアニメの世界に行きたいと願う人物が効果的と考え、最終的には“美少女アニメキャラクターのコスプレ姿で殺人を繰り返す殺人鬼”と“今までの自分とは違う誰かになりたい少女”の物語になりました。

4.本作ではどんな困難に直面し、それをどう乗り越えましたか?

長編映画の制作は今回が初めてということもあり、脚本に1年以上かかってしまったり、なかなか納得行く出来にならず編集にとても苦労しましたが、キャストやスタッフや助けてくれる友人たちに恵まれて、最後まで妥協せず、映画を完成させることが出来ました。中でも困難だったのは、血糊を大量に撒き散らしても大丈夫な撮影場所の確保だったのですが、奇跡的なタイミングで実家を建て替えることが決まり、取り壊すまでの期間、実家を最大限に利用することができ、乗り越えることができました。

5.本映画祭への応募動機と選出された心境は?

映画祭に応募した動機は、この映画を一人でも多くの方に届けたかったからです。また、ファンタスティック映画の映画祭ということもあり、この映画を応募するのにぴったりだとも思っていました。選出された心境は“本当に嬉しい”の一言です。この映画を映画祭で上映すると決めてくださった映画祭の方々に本当に感謝しています。どうか、生き辛さを感じていたり、何かに一人で悩んでいたり、心が重いなと感じている誰かの心に少しでも光が届いてくれれば嬉しいです。

6.ご覧になる皆さんへメッセージを

“心に傷を抱えた少女”と“アニメの世界に行きたい殺人鬼”が恋に落ちたら?というコンセプトで、この二人の登場人物だから描くことができる“心”の物語を描こうと思い、日本ならではの要素と、スラッシャーホラーとアニメーションとラブロマンスが一体となった、新感覚の作品を目指して作り上げました。誰にも見えない傷を背負いながら、今を生きる全ての方々に向けて。映画の中で二人が過ごした、残酷で、痛くて、温かい時間を一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。