サンバのリズムに乗せて

Samba no Rhythm ni Nosete

2022年/日本語/日本/28分/ワールドプレミア

解説

この『サンバのリズムに乗せて』という作品はくすぶっている青年の地上からの叫びである。脚本の段階で「怠惰」という言葉が出た。私の中での「怠惰」はマイナスのイメージの言葉で、なにか地獄を連想する。上と下という言葉で表すとしたら下だ。着想は下からきた。穴というモチーフを通して、非現実的な描写を含む人間賛歌の物語である。

あらすじ

学校に通わずにただ日々を無為に過ごす主人公は、酒飲みの父親とは衝突する日々。そして好きな女の子にも振られてしまう。生きる居場所を見失う主人公は地面でオナニーをしてしまう。そこにはぽっかりとあいた穴が……。その穴からは何かが聞こえてくる。そして死んだはずの母親が戻ってくるが……。穴を通じての親子の再生の物語。

監督

田中等
1996年愛知県生まれ。大阪芸術大学中退。在学中に自主映画を撮り始める。現在、アルバイトをしながら創作活動を行っている。

スタッフ&キャスト

監督/脚本 田中等
プロデューサー 田中等、須郷勇樹
出演 高橋柚生、田中和弘、昇俊平、松倉智子、品田亮、大久保雛、松本結起、田中哲夫、山添敦景 ほか
スタッフ 梶本達希(制作)/橋田来希(撮影)/澤口元希(音楽)/淺田茉祐花(編集)/近藤大貴(助監督)/渡邊和音、古橋健太(録音)/佐藤恵太(整音)ほか

上映スケジュール 7/28 thu – 8/1 mon

Director’s Voice

1.映画制作をはじめたきっかけは?

子どもの頃にVHSでチャップリンのモダンタイムスを見て衝撃を受け、そこからそれがずっと脳内にあり続けたことが、映画制作をはじめたきっかけになったと思います。

2.影響を受けた作品や監督は?

石井裕也監督初期作
エミール・クストリッツァ監督作
大林宜彦監督作「転校生 さよならあなた」
チャールズチャップリン「モダンタイムス 街の灯」
今村昌平監督作「エロ事師たちより人類学入門」ほか
町田康
中島らも ほか

3.本作の制作動機、インスピレーションは何でしたか?

制作動機は卒業制作をフィルムで撮る予定だったので、それの予行演習という形で撮影しました。作品紹介でも書いた通り着想は下からきました。そこから穴へと広がり、地底人の話になり、日本の裏側ってブラジルだよな……サンバだよなと。安易だと思います。すみません。サンバとは、踊ることとは、人間の原初的な表現であり、生きる力なのだと思います。そしてそこに自分の思っていることを詰め込んでいきました。

4.本作ではどんな困難に直面し、それをどう乗り越えましたか?

録音部の不在が大きかったです。実際この作品は録音部の不在で整音ができず完成を見送っていました。知り合いのカメラマンの人が録音部を紹介してくれたので、いまなんとか作品になっています。それとロケ地は実家という設定なのですが、空き家を使うにもお金がかかるし、美術を作りこむもの大変なので一軒、一軒、家を回って貸してくれる人を探しました。幸いにも快く貸してくださる方がいて助かりました。映画制作は、一人ではできないなと実感しました。制作に携わった方々に感謝します。

5.本映画祭への応募動機と選出された心境は?

他にも自主制作は撮っていたのですが、あまり映画祭などには応募をしませんでした。今回の作品はそれこそインスピレーションで応募しなきゃ!と思い立ち、急いで応募をしました。期限はギリギリでした。すみません。まさか自分の作品が選出されるとは思っていなかったので有難いことだと感じています。大きな映画祭なので、多くの人にこの作品を見てもらえることを願っています。

6.ご覧になる皆さんへメッセージを

表面的で薄っぺらいですが、人生の可笑しさ、哀しさすべてひっくるめて人間の生きる力を信じたいです。くすぶっている青年の地上からの叫び、なにか感じとってもらえれば幸いです。