サブミッタン

Submittan

2021年/英語、日本語/アメリカ/19分/アジアプレミア

解説

ハンナ・アーレントの「凡庸の悪」という言葉から発想を得て作られたこの作品は、ごく普通の一市民がなぜ大きなレベルの悪業に加担してしまうのかを、架空の未来を舞台に、その市民の視点から描こうとしたサイエンスフィクションです。

あらすじ

近未来の独立都市サブミッタンでは、市民の急増に悩んでいる。そのため、80歳になった市民は、山の麓のコミュニティに「引退」させられることになった。日本からの移民であるチェイスは、生活苦から抜け出すため、その政策を推進するプロパガンダの作成を手助けすることになる…

監督

木村晋
日本出身、アメリカロサンゼルスを拠点に活動する映画作家・編集者。ボストンのエマーソン大学卒業後、編集者としてキャリアを積む。クライアントにネットフリックス、フォックス、ナイキ、NBCユニバーサルなど。2013年から、脚本や監督にも手を伸ばす。自らの作品には、移民として外国で家族を育てている経験を反映したテーマをてがけている。

スタッフ&キャスト

監督/脚本 木村晋
プロデューサー キャメロン・ミッチェル
出演 安藤美亜、高橋桃佳、ジャン・シャオワン、ベッキー・ブラウン
スタッフ ダガ・マリンスカ(撮影)/ザック・バートレット(照明)/シャーロット・パート(音楽)/木村晋(編集)/永井李砂(美術)/ニック・ナイレン(音響デザイン)/エレーナ・フロレス(衣装)/サワダ・アキヒロ(メイク)

上映スケジュール 7/28 thu – 8/1 mon

Director’s Voice

1.映画制作をはじめたきっかけは?

中学生の時に「アンタッチャブル」を見てから映画を志しましたが特に何もせず、アメリカに行きたいだけの一心で大学から留学し、学校で編集に出会いその腕を磨き続けました。しかし腕だけでは作りたい作品に出会えないことを感じたある日、周りの薦めもあり、自分の作品を作ろうと思い立ち、2013年からは編集と自主制作の2足の草鞋を履いています。

2.影響を受けた作品や監督は?

グッドフェローズ、ワイルドバンチ、七人の侍、少女ムシェット、東京物語、ダークナイト、仮面ペルソナ、プロジェクトA2、ぼくのおじさんの休日、マッドディテクティブ、など数々。「サブミッタン」に直接の影響を与えたのは、Children of Men(トゥモロー・ワールド)、ストーカー、サウルの息子、Sicario (ボーダーライン)、ハンナ・アーレントなど。またアンセル・アダムスの日系人収容所シリーズ、Japanese American National Museum & Museum of Tolerance in Los Angelesへの訪問にも影響を受けました。

3.本作の制作動機、インスピレーションは何でしたか?

たまたまユダヤ人哲学者、ハンナ・アーレントの映画をみたことがきっかけで、彼女が定義した「悪の凡庸さ」というものを短編で物語化したらわかりやすいんじゃないかと思い、そこからストーリーをを考えているうち、ふと姥捨山伝説のことが浮かび、話がつながりました。その後2016年の大統領選挙を経て、アメリカの移り変わりを肌で感じつつ、「移民としてどう周りの抑圧に負けず、かつ弱者同士支え合って生きていけるか」を作品に探し続けた結果、なぜか話が大きくなり未来の世界の話になっていました。

4.本作ではどんな困難に直面し、それをどう乗り越えましたか?

アイデアが浮かんでからここまで来るのに7年、困難しかありませんでした笑。仕事をし、家族を養いつつ、脚本を練ること3年。そこから資金、キャスト、クルー、「勢い」を集めること2年。撮影ができたのは20年の2月、コロナの影響でロサンゼルスのプロダクションが全て中止となるおよそ2週間前。撮影の1週間前に主要クルーの交代劇などもありました。だけどおそらく1番の困難は「自分がやってることが正しいのか」という迷いとの戦いだと思います。そのような瞬間に何度となく直面しましたが、家族と、一緒に飛び込んでくれた仲間のおかげでここまでこれたとしか思えません。

5.本映画祭への応募動機と選出された心境は?

90年代、僕が映画に出会った頃、うちの母がなぜかキネマ旬報を買ってくれるようになり、よくわからないまま読んでるうちに夕張という街ではなんか楽しそうな映画祭がやっているのだというインプットがなされました。それから月日が経ち、初めて日本で自分の映画を上映してくださる場所がその夕張になり、またその間にうちの姉は北海道へと移住。行こうと思えばいつでもいけるというこのなんとも言えない不思議に、感銘を受けています。機会を与えていただいた皆様に感謝しています。

6.ご覧になる皆さんへメッセージを

長々と書いてしまいましたが、皆さんがあまり深く考えずとも、見ているうちに世界と主人公の行き先に取り込まれるような映画を目指しました。いろいろなことを感じてくださったり、考えて下されば幸いです。ご鑑賞、本当にありがとうございます。質問や感想がありましたら、ソーシャルメディアなどで気軽に声をおかけください。