アンタクト 宇宙からのメッセージ

A Letter from Galaxy in Untact Era

2021年/韓国語/韓国/5分/ワールドプレミア

解説

物理学者のブライアン・グリーンは「万物は他の万物と結びついている」と語りました。この映画は、決して届かない距離にいる父と娘が、父の死によってもはや会えない状況に置かれた時、二人を結ぶ「夢」と「音楽」という無意識の「非言語」でコミュニケーションする物語であり、アンタクト(非接触)時代の関係に関するメタファーです。宇宙にいる娘とオンラインの中だけに存在する父を、宇宙と宇宙が出会う瞬間の体験として、夢のような形で描いてみたいと思いました。

あらすじ

2052年。宇宙探査隊員のキム・ソリは3年間、宇宙惑星の探査に出ている。新たな惑星を探査しているソリに父親の訃報が届く。ソリの父は韓国を代表する作曲家キム・ヒョンソクだった。この頃、韓国では亡くなった人を弔う三日葬の期間、AIで再現した故人と映像チャットができるオンラインアプリが作られていた。父親と疎遠になっていたソリは、出棺前日にアプリにアクセスする。

監督

キム・ジンム
10年以上、多くの長短編インディペンデント映画を制作。「泰安油流出事故」以降、現地に残された人々の絶望と悲しみを取材したモノクロ長編「休日」を発表。北朝鮮の地下教会信者の人権問題を扱ったキム・イングォン主演の「神が遣わした人」はインディペンデント映画としては異例の42万人を動員し、韓国のみならず豪州や英国の国会でも上映された。

スタッフ&キャスト

監督/脚本 キム・ジンム
プロデューサー キム・ギョンソン
出演 キム・ヒョンソク
スタッフ ブライアン・W・キム (アニメーション)/キム・イェラン (ナレーション)/プルートサウンドグループ (サウンドデザイン)

上映スケジュール 7/28 thu – 8/1 mon

Director’s Voice

1.映画制作をはじめたきっかけは?

多くの作品をともに作ってきたプロデューサーのキム・ギョンソンは、常に私がどんなジャンルや物語を描きたいのかに耳を傾け、現実的な制作環境を整える方法を考えてくれる人です。この作品に関しては、パンデミック時代を経験して「マインドアップロード」「アンタクト(非接触を意味する造語)」という2つのテーマに関心を持っていたところ、パンデミックやSF関連の複数のサポートプロジェクトによって作品を完成させることができました。

2.影響を受けた作品や監督は?

このように物語が展開するケースはなく、特に参考にしたものはありません。ただ、SFファンタジー的なコンセプトを用いて父親に会うという設定は、カール・セーガンの小説を映画化したロバート・ゼメキス監督の「コンタクト」を想起させます。カール・セーガンは名言を残しています。「この広い宇宙に我々しかいなかったなら、それは空間の多大な浪費だ」。

3.本作の制作動機、インスピレーションは何でしたか?

本作にインスピレーションを与えてくれた人がいるとしたら、モチーフを提供してくれた韓国の代表的な作曲家、キム・ヒョンソク氏です。虚心坦懐なご本人の話が、これまでにない“SF音楽映画”というコンセプトを着想する契機になりました。

4.本作ではどんな困難に直面し、それをどう乗り越えましたか?

インディペンデントSF映画といえば、ブロックバスター映画のクオリティにはるかに及ばないB級映画を思い浮かべがちです。一定レベル以上のクオリティを担保しながらSF的な感性を表現することが最大の困難でした。幸いにもVFX監督のブライアンが私とコミュニケーションしながら作品を導いてくれました。現実的な妥協点や、あきらめざるを得ない部分の代案をリアルタイムで見つけられたことが最大の利点でした。「限界と短所をアイディアで美学化する」というのがフィルムメーカーとしての私の長年の信念です。

5.本映画祭への応募動機と選出された心境は?

この短編映画を、偏見なしに新たな形式の映画として認めてくれる映画祭が必要でした。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭の作品の傾向から、ジャンルや形式にこだわらず新しい試みに関心を持って見守ってくれる映画祭だと感じていました。上映が決まって感慨深いです。韓国の映画市場の環境ではあまり扱われないジャンルであるだけに、選んでいただいてありがたく、努力が報われた気がします。

6.ご覧になる皆さんへメッセージを

私たちは皆、パンデミックの時間を各自の空間で孤立感に耐えながら過ごしてきました。私はその中で感じた孤独を視覚化したいと思いました。そして、物理的には異なる空間にいても同じ時間の中で私たちが「つながって」いるという安心感を伝えたいと思ってきました。この映画を通じて皆さんにメッセージを送ります。あなたと私の宇宙は、心の中で共にあると…。